『羅生門』
黒澤明監督の『羅生門』(1951)を観ました。
半分焼け落ちた羅生門に滝のような豪雨が叩きつける中、
杣売、旅法師、下人の三人が雨宿りをしていて、
証言の全てが食い違っていた事件のあらましについて話し合っている、
といった『羅生門』×『藪の中』で構成されたストーリーです。
ヴェネチア国際映画祭でサン・マルコ・金獅子賞を、
アカデミー賞では最優秀外国映画賞を受賞しています。
古い作品だけにセリフが所々聞き取りづらかったりもしたのですが、
白と黒、光と影、豪雨と太陽の見事なコントラスト、
多襄丸の息遣いや女の悲鳴だけを残して静まり返る音楽、
多襄丸の野性的な筋肉や仕草など、
聞き取れない部分を補って余りある表情豊かな映画でした。
真相が藪の中から明るみに出てこない事件の他に、
羅生門の下で三人がその事件を振り返るシーンも見応えがありました。
この設定だからこそ、
『羅生門』と『藪の中』が一つの作品として融合しえたのだと思います。
原作では
「下人の行方は、誰も知らない」
といった印象的な一文が最後に置かれていますが、
その意味が重くのしかかってきます。
映画では捨てられた赤ん坊を包んでいた毛布でしたが、
他人のものを身勝手な理屈で盗み、
それを引き止めることの出来なかった人を残して去っていく下人の行方は、
今も昔も誰にも分からないのです。
セリフがもう少しきちんと聞き取れたら、
三船敏郎の迫真の演技や
人間に不信感を抱きながらも愛さずにはいられないといった荘厳なテーマも、
さらにものすごい迫力で迫ってきたんじゃないかと思います。
↓角川書店から出ている『世界名作シネマ全集』のvol.3は
「黒澤明の世界」と銘打って『羅生門』と『生きる』の二本が収録されていて、
詳しい解説もついていてお得です。








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