2008年5月12日 (月)

映画を観たい。

最近あんまり映画を観ていないなあ、
とふと思いました。

翻訳をするうえで参考にするために観る予定のビデオは
今月も何本かあるのですが、そうではなく、
理屈抜きに楽しい映画を観たい気分です。

でもぼくはいつもそうなのですが、
じゃあそれは具体的にどんな映画なのか、
となると、なかなか出てこないのです。

だからレンタルビデオ屋さんに行っても、
散々迷った挙句に何も借りずに帰ってきたりします。
むしろその方が多いぐらいです。

観たい映画は最近ものでも古いものでも、
いくらでもあるような気はするのですが、
うまく思いつかないのです。

本やCDならそんなことはありません。
次に読みたい本、次に聴きたい音楽、
というのは常に具体的にあります。

ビデオ屋さんやレコードショップの映画DVDコーナーは
たいてい作品のタイトル順に並んでいて、
アーティストや作家の名前順に並んでいる
音楽CDコーナーや本屋さんの本棚に比べて
見づらいような気がします。
それが原因かもしれません。

これをどうにか克服したいと思います。
これも締め切り後の課題です
(今はそれどころではありません)。

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2008年3月17日 (月)

『皇帝ペンギン プレミアム・エディション』

『皇帝ペンギン プレミアム・エディション』をDVDで観ました。

南極の厳しい自然に立ち向かう皇帝ペンギンたちの、
愛くるしい姿、親子の愛、自然の摂理がばっちり収められていました。

冬を迎えると海から氷原に這い出でて、
7000羽ほどの群れで100キロ近く離れた営巣地まで歩いて行って卵を産み、
時速250キロのブリザードが吹き荒れる中、
マイナス40℃の厳しい寒さと4ヶ月にわたる絶食に身を寄せ合って耐えて、
雛を孵すのです。

群れの中にリーダーはいないとされながらも、
ほぼ一列に並んでヨチヨチと歩いている様子や、
でこぼこのないところでは腹ばいになってすい~っと滑って楽をしている姿、
親の短い足の間からひょっこりと顔を出す孵ったばかりの雛などは、
とても可愛かったです。

だけどやはり天敵がいて、
海にもぐればアシカが大きな口を開けて襲ってくるし、
氷の上でもカモメが雛を狙っているので、
気候だけでない過酷な環境に気が抜けません。

温暖化で氷の面積や厚さも変動していたり、
オゾン層の破壊によって南極海の生態にも変化があるなど、
その食物連鎖の一員である皇帝ペンギンの将来も、
やはり不安視されているようです。

このプレミアム・エディションには、
メイキングやスタッフのインタビューなど、
本編の86分を遥かに超える182分に及ぶ特典ディスク、
皇帝ペンギンや南極に関する事実を詳細にまとめたパンフレットが付属していて、
非常に見応え、読み応えがあります。

ナレーションが時々ペンギンによる一人称ふうになるのは、
どこまで効果的なのかちょっと疑問ですが、
これは愛嬌といったところだと思います。

これで今なら1500円なのでお買い得です。

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2008年2月19日 (火)

『ペレを買った男』

火曜日はテアトル梅田で1,000円で映画が観られるということで、
かねてから観たいと思っていた

 『ペレを買った男』 (原題: Once In A Lifetime)

を観てきました。

1970年代、ワーナー・コミュニケーションズのスティーブ・ロスが、
ペレやベッケンバウアー、カルロス・アウベルトといった
世界的なスーパースターを各国からかき集め、
自らのクラブチーム、ニューヨーク・コスモスを強豪と呼ばれるまでに成長させ、
北米にサッカーを根づかせようと、
金銭的、興行的に挑戦する物語です。

その果てしない夢と野望の顛末、
アメリカではじけたサッカー・バブルともいうべき華やかな時代の成り行きを、
ジェームス・ブラウンやシュープリームス、クール&ザ・ギャング、
スティーリー・ダン、プライマル・スクリーム、ヴェルベット・リボルバー……、
といった軽快な音楽に乗せ、レアな映像や静止画を大胆に挿入し、
ドキュメンタリー映画というよりは、
ミュージック・ビデオのようなスタイリッシュな映像に仕上がっていました。

ぼくとしては、エンターテインメントとしてより、
ドキュメンタリー的な要素を期待していたので、
もう少し細かい描写や説明が欲しかったなあという感じでした。

でも、サッカーがビッグビジネスであるという事実、
むしろこの時期のコスモスをめぐる状況は、
ビジネスでしかなかったという事実は、
哀しいぐらい十分に伝わってきました。

ペレやキナーリャのプレーシーンは、
観ていて楽しかったです。

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2008年1月27日 (日)

『タワーリング・インフェルノ』

『タワーリング・インフェルノ』(1974)を観ました。

スティーヴ・マックィーンとポール・ニューマンの主演で、
落成式の最中に大火災に見舞われた超高層ビルを舞台にした映画です。

スティーヴ・マックィーンが消防隊長役で、
ポール・ニューマンはビルの設計士役です。

ものすごい緊迫感でした。
火災が大きくなるまでは早くどうにかしてくれとTVの前で祈っていたし、
観ているだけで煙が目にしみてきました。

火の手が大きくなる一方のビルの中で、
エレベーターが止まり、階段が崩落し、防火扉が開かなくなり、
割れたガラスが飛び散り、逃げ惑い、逃げ道がなくなり、
そのたびに消防士たちが突破口を探して活躍し、
160分ぐらいある映画なのですが、
全然長く感じませんでした。

責任ある立場にある人間の安全意識の欠如や見栄、
マックィーンのリーダーシップや
ニューマンの責任感など、
様々な人間模様が交錯していました。

怖かったです。

あんな極限に置かれた時にどう振舞えるのかとか、
自分の仕事に対してどれだけ勇気を持って謙虚な姿勢を貫けるかとか、
技術や意識の面で全く古さを感じさせず、
非常に見ごたえがありました。
それに、防災意識は日頃から強く持っておかなければと痛感しました。

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2008年1月12日 (土)

『Mrs. Bixby and the Colonel's Coat』

ヒッチコック劇場の

 『Mrs. Bixby and the Colonel's Coat』(1960)

を観ました。

 ビクスビー夫人は夫に嘘をついて浮気相手のもとを訪れるのですが、
 当の浮気相手からはつれなくされ、
 手切れ金代わりにミンクのコートをプレゼントされてしまう。
 そんな高価なコートを持って帰るのはさすがにまずいので……、

というような話です。

この後の展開が非常にブラックにコミカルで、
すごく面白かったです。
観ている側の予想など軽く裏切られ、
ダメ押しのような展開が最後まで続きます。
原作はロアルド・ダールです。

原題は直訳すると『ビクスビー夫人と大佐のコート』ということですが、
邦題が『女性専科第1課 中年夫婦のために』となっているのは、
どうしてかなあと悩むところです。

1枚のDVDに3話収録されていて、
それぞれ25分ぐらいと短いものばかりなので、
休憩時や寝る前にちょっと、といった感じで手軽に楽しめるので、
楽しいです。

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2008年1月 2日 (水)

『踊る人形』

ケーブルTVで録画していた

 シャーロック・ホームズの冒険 『踊る人形』

を観ました。
踊る人形の形をした謎のメッセージを解読し、
事件を解決に導くのですが、
相変わらずの観察力に唸らされました。

暗号の解読は物語の展開に重要な要素となってくるので、
解読するまでにもっと時間がかかってもよかったのかな、
と思ったりもしましたが、
それでは一時間番組として成り立たなくなるし、
ホームズの世界を一時間で堪能できるというのが
この番組の素晴らしいところなので、
そこはバランスの問題ということなのだと思います。

あと、観終えて初めて思ったことなのですが、
これはもしかしたら、「おどるにんぎょう」ではなくて
「おどるひとがた」と読むのかもしれません。

いずれにしても、この番組は原作に忠実だというのがもっぱらの評判ですが、
イメージを細かいところまで具体的にするという点で、
翻訳家としては大いに勉強になります。

原作者の視点を注意深く「観察」して、
そのままの角度、深度、色調で再現できるよう、
今年も翻訳力をもりもりとつけていきたいと思います。

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2007年12月22日 (土)

『チャプター27』

シネリーブル神戸で『チャプター27』を観てきました。
ジョン・レノン殺害犯のマーク・デイヴィッド・チャップマンに関する映画です。

ジョンの音楽とJ.D.サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』に
強く影響を受けていたチャップマンは、
犯行の3日前にNYにやってきて、
リリースされたばかりの『ダブル・ファンタジー』を買って、
サインをもらおうとジョンの住むダコタハウスの外で待ち続け、
待ちぼうけ、その間にジョンに対する思いが複雑に変遷していくのです。

『ライ麦~』がどのように影響を与えていたのかということは
結局よく分からなかったのですが、
現実と幻想が一緒になってしまっていて、
独りよがりの歪んだ正義感に燃え、
通らない理屈に苛立ち、
その矛先が、崇拝していたはずのジョンに向かった、
という印象を受けました。

愛と表裏一体の狂気を見た気がしました。
だけど、この事件はやはり解明されることのないもののような気もしました。

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2007年12月 9日 (日)

『フレンチ・コネクション』

ジーン・ハックマン主演の『フレンチ・コネクション』(1971)を観ました。

マルセイユとニューヨークを結ぶ麻薬密輸ルート(=フレンチ・コネクション)を巡る
NY市警の二人の刑事と国際麻薬シンジケートの攻防が
ドキュメンタリー・タッチの演出でギラギラと描かれています。

ジーン・ハックマンとロイ・シャイダー(『ジョーズ』の人)が演じた主役の二人には
モデルとなった実在の刑事がいて、
ストーリーもこの二人が実際に関わった事件がもとになっているということです。

というわけで、リアリティの追求という点では徹底されていて、
主役の二人も完全無欠のヒーローなどではなく、極めて人間的な魅力に満ち、
ストーリーも意外な展開があるなど、
そんなドラマも映画としての緊迫感につながっているように思いました。
特にジーン・ハックマン演じるドイル刑事の執念は凄まじかったです。
鬼気迫るものがありました。

ドキュメンタリー・タッチということで、
ラストでは事件のその後がきちんと説明されていたのですが、
やはり映画の続編としての『フレンチ・コネクション2』が気になります。

1971年度アカデミー賞5部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞、編集賞)
を受賞した傑作映画です。

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2007年10月 6日 (土)

『ロッキー』

『ロッキー』を観ました。

「ザ・ファイナル」ではなく、「I」です。
「I」だけはDVDを持っているのです。

「II」以降は意見の分かれるところかと思いますが、
「I」はやっぱり面白いです(ぼくは「II」も好きです)。
最後のボクシングのシーンは漫画的なところがあるのかもしれませんが、
それで冷めてしまわないだけのドラマが丁寧に描かれていると思います。

どうしようもないごろつきだということは自分でもイヤというほど分かっていて、
だけど巡ってきたチャンスにかける思い、
ただかけるだけでなく、色んな思いを込めて挑む覚悟、
それらを胸に秘めて励むトレーニングの日々、
それを煽るビル・コンティのテーマ音楽、
盛り上がらないはずがありません。

あの音楽はホノルル・マラソンを走っていた時も、
沿道でよく演奏されていました。
30kmとか35kmを過ぎるともう本当に体力が底をついてくるんだけど、
ちょうどその辺りで地元のミュージシャンたちが待ち構えていて、
聴こえてくるんです、あのテーマソングが。

 パーパーパパパー、パパパーパパパー……。

そうなると俄然勇気が湧いてきました。
残りの10kmほどを頑張りぬく勇気が湧いてくるのです。

それはロッキーのテーマであると同時に、
ぼくにとってはホノルルのテーマでもあり、
それはそれは勇気の源なんです。

ぼくの頭の中には今もパーパーパパパー……、と鳴っています。

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2007年9月23日 (日)

『かもめ食堂』

ケーブルTVでやっていた『かもめ食堂』を観ました。

小林聡美がフィンランド(ヘルシンキ)でオープンした食堂に、
片桐はいりやもたいまさこがやってきて、
次第に地元の人たちの間でも評判になって……、
というようなストーリーで、特に大きな出来事もなく、
ただ何となくゆったりと日々が過ぎていきます。

主役の3人が持っている「間」というか、雰囲気というか、
実はあんまり得意ではないのですが、
この映画では片桐はいりが面白かったです。

フィンランドの街になじんだ食堂の雰囲気や、
人々の朴訥とした感じなど、良かったです。

週末の朝に目が覚めて、いい天気だったりした時に、
なんとなくのんびりと観ると、いい感じの映画だったりすると思います。

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2007年9月22日 (土)

『酔いどれ詩人になるまえに』

あの後、無事に前売り券を買って、
今日は間違えずにテアトル梅田に行って観てきました。

 『酔いどれ詩人になるまえに』

の話です。

チャールズ・ブコウスキーの自伝的小説『勝手に生きろ』が原作なのですが、
描かれているのはブコウスキーが大学を中退して
アメリカ各地を放浪しながら作家としての修行を積んでいた時期です。
邦題の意味はそういうところにあるのだと思います。

映画の感想としては、ろくでなし、の一言に尽きます。
ブコウスキーの小説や詩を読んだり、
もっと時代を限定せずにブコウスキーの人生を追ったドキュメンタリー映画の
『オールドパンク』などを観ると、
ろくでなしだけど愛しかったり、情けないのに眼差しには優しさが溢れていたり、
人生に誠実であったり、決して憎めず、むしろその偉大さに恐れ入るぐらいなのですが、
この『酔いどれ詩人~』に限って言えば、ろくでなし、の一言です。

仕事は真面目にしないし、女性には冷ややかだし、
唯一の救いは、酔っ払っていても打ちひしがれていても、
書くことに対してだけは真剣だというところなのですが、
それにしても……、というぐらい、ろくでなしです。

 この、ろくでなしっ!

というぐらいです。

でもブコウスキーの小説が好きで、『オールドパンク』も観たし、
もっとブコウスキーのことを知りたいという人にとっては、
作家としての道を歩み始める前にはこういう時期もあったんだ、
という意味で興味深い映画だと思います。

でもこうして日記を書きながらさっき観た映画を思い出していると、
あれほどまでに何もかもがうまくいかない時期に、
自分の才能によっぽどの自信があったのか、
あそこまで落ち着いて毎日を暮らしていられるというのは、
なんとなくやっぱりすごいなあと思えてきます。

不思議な魅力です。

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2007年9月10日 (月)

『列車に乗った男』

パトリス・ルコント監督の『列車に乗った男』(2002)を観ました。

教授職を引退して寂しく暮らす初老の男性(マネスキエ)と、
列車に乗ってその町に流れ着いたどことなく陰のある中年男性(ミラン)が、
偶然出会い、ぎこちないながらも心を通わせ合います。

饒舌なマネスキエは自由な日々を夢に見ながらも、
その一歩を踏み出す勇気を持てず、
一方で寡黙なミランは落ち着いた生活に心の中では憧れながらも、
そうすることが叶わずに放浪を重ねる、といった対照的な二人です。

そんな二人が出会い、三日間を共に過ごしていく中で、
自らの現実と夢を重ね合わせていくのです。
全編を通してバックで流れているギターの音色が哀愁を帯びていて、
余韻を残します。

最近は映画やビデオを観る際に、極力予備知識ゼロで観るようにしています。
それだけで展開に意外性を持たせることができます。

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2007年9月 1日 (土)

『ハーフ・ア・チャンス』

パトリス・ルコント監督の『ハーフ・ア・チャンス』(1998)を観ました。

フランスの二大俳優、アラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモンド、
そしてヴァネッサ・パラディが主演のアクション・コメディです。

父親を知らずに育ち、車泥棒をして暮らしていたアリス(ヴァネッサ)が、
母親の遺言で父親候補が二人いることを知り、二人のもとを訪ね、
どちらが本当の父親かと言いながら楽しくやっていると、
いつの間にかマフィアと警察の抗争に巻き込まれ……、
というストーリーです。

パトリス・ルコントらしさはあんまり感じなかったけれど、
『オーシャンズ』シリーズとか、デ・ニーロの『ミッドナイト・ラン』とか、
そんな感じの楽しい映画でした。
面白かったです。

アラン・ドロンといえば『太陽がいっぱい』、
ジャン=ポール・ベルモンドといえば『勝手にしやがれ』と思っていると、
ちょっと損をします。損をしていました。
二人とも60歳を過ぎてからの作品なのですが、
独特のユーモアや後半のアクションは愉快痛快で見応えがありました。

ヴァネッサ・パラディもそんな二人と堂々と渡り合っていて、
相変わらずコケティッシュだし、オススメです。

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2007年8月29日 (水)

『Shine A Light』

2年にわたって計146の公演を行なった『A Bigger Bang Tour』が
26日のロンドン02アリーナで最終日を迎えたばかりのストーンズですが、
スコセッシ監督によるによるドキュメンタリー映画『Shine A Light』の予告編が
公開されていました。

*今秋に予定されていた本編の全米公開は、来春に延期されています。

いつものことながら、今回も最後のツアーになるのでは、
とまことしやかに囁かれながら、だけど頼もしいのは、

 「身体の調子はすこぶるいい、タバコも煙突みたいに吸っている、
 俺がくたばることを考えるのは150歳を過ぎてからだ」

と言うキースの発言です。

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2007年8月19日 (日)

『JANIS』

今月初めに立てた、

 月末までにストーンズの『The Biggest Bang』を観終える、

という予定が全く進んでいません。
翻訳に没頭しているのであればいいのですが、
その1週間遅れで買ったJanis Joplinのドキュメンタリー映画『Janis』
夢中になっているからです。
翻訳の合い間に観ているのか、『Janis』の合い間に翻訳をしているのか……。

『モンタレー・ポップ』『ウッドストック』『フェスティバル・エクスプレス』など、
これまでも数曲分のライブ映像を見る機会はあったものの、
こうしてまとめて観られるものがなかったので、
DVDになるのを待ち焦がれていた映画(1974)です。

ライブ映像だけでなく、インタビューやレコーディング風景など、
「動くジャニス」、「しゃべるジャニス」が盛りだくさんで、
これまでCDを聞いたりエピソードを読んだりして思い描いていたジャニス像が、
どんどん色鮮やかに、そして色濃くなっていくような気がしています。

ライブでの圧倒的な存在感は、
歌は内面を開放させると言って声を限りにシャウトする情熱の塊りです。
一方でインタビューになると時に照れたような可愛い表情を見せ、
貫禄さの裏側でちょこんと大人しく出番を待っている可憐さが印象的です。

ジャニスは歌うようになって内面を開放できるようになる前、
高校生の頃には絵を描いていたということですが、
絵は「内面的」だったと告白しています。
おそらくあまり思い出したくないはずのその頃のことを思い出しながら、
誠実にインタビューに答えるジャニスの表情を見ていると、
歌と出会ったことの幸せ、充実感、
そしてやっぱりその裏返しである虚しさを感じずにはいられませんでした。

「Me And Bobby McGee」という歌で、

 "Freedom's just another word for nothin left to loose."

と歌う部分があります。
「自由とは何も失うものがないということ」というのです。
そして「それでも自由でなければ意味がない」と続きます。
ジャニスが"Sincerity & good times"を追い求めながら、
一生懸命に生きた人生の哲学が、この部分にちょっと表れているように思います。

いかにファンに愛されていたかということもよく分かる映画です。

遺作となった『Pearl』もそうだし、ジャニスの人生そのものもそうだけど、
エンディングがたまらなく寂しいです。
だけど、素敵な作品なのでオススメします。

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2007年7月28日 (土)

『幸福の黄色いハンカチ』

DVDレコーダーのHDDを整理していて、
そのまま『幸福の黄色いハンカチ』を観てしまいました。

いい話です。

武田鉄也がどうも苦手なので、
そこのところはちょっとう~ん……という感じなのですが、
高倉健と桃井かおりと倍賞千恵子は最強トリオです。

武田鉄也が新車を買って傷心旅行に出かけ、
そこで出会った桃井かおりを下心満々で乗せ、
さらには高倉健とも知り合って、
その道中を描いたものです。

みんな純粋なんだけどその表れ方は様々で、
高倉健は無骨で、桃井かおりは内省的で、倍賞千恵子は献身的で、
武田鉄也は軽薄です。

高倉健の過去が明らかになるにつれて、
そんな四者ががっちりと結ばれていくのですが、
何度観てもクライマックスのシーンではぼろぼろ泣いてしまいます。

高倉健と倍賞千恵子は、デ・ニーロとメリル・ストリープのようです。

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2007年7月27日 (金)

『一里塚に風を断つ』

TVを見ていると、扇参院議長国会にお別れ、というニュースをしていたので、
『木枯し紋次郎』の第8話「一里塚に風を断つ」(1972)を観ました。

この回に扇千景がゲスト出演しているのです。
悪女の役です。

この回の悪役は、かなりのワルです。
扇千景を上回る悪玉がいて、保身のために人を使って人を殺そうとするのです。
そしてそこに、関わりのないはずの紋次郎が関わってしまうのです。

あいかわらず紋次郎の殺陣はスタイリッシュとは程遠く、
生き抜くためだけの野生の勘に頼ったような無骨さです。
そこにクールなBGMが聞こえてくると、もう、カッコいいにも程があります。

背中には愛に満ちた怒りと哀しみが漂い、
瞳には時おり寂しさと優しさを宿し、
楊枝に強い意思を込めます。

物語も最後までどんな結末が待っているのか分からず、
どろどろと複雑な人間関係もリアルで、
舞台はまさに「和」の世界だけど、
なんとなくフランス映画のハードボイルドを感じます。

ぼくのバイブルです。

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2007年7月16日 (月)

『アリスの恋』

M.スコセッシ監督、エレン・バースティン主演の『アリスの恋』(1974)を観ました。

スコセッシ監督といえば、暴力、怠惰、NY、音楽……、といったイメージですが、
この映画では音楽はふんだんに使われているものの、
暴力はほんの脇に影を潜め、
頑張る女性を大々的にフィーチャーしたハートウォーミングなロードムービーです。

歌手になることを夢に見ながら結局は平凡な生活に落ち着き、
だけど夫が不慮の死を遂げたことで彼女の人生は一変、
十一歳の一人息子を連れて故郷のモンタレーを目指して車を走らせます。
モーテルに暮らしながらアルバイトをして生活費を稼ぎ、
男運の悪さなどに見舞われながらも色んな人との出会いの中で、
自分の暮らしや夢を見つめ直す、

といったストーリーです。
女性の自立とか、現実と夢とか、大きなテーマを扱いながら、
全く意味のない息子とのやり取りとか、親子のケンカ、
雑多な食堂での猥雑な会話、男女間の意地の張り合いなど、
一つ一つのエピソードがリアルというか、とても身近で、ユーモアがあって、
決してコメディではないんだけど、とても楽しかったです。

『タクシードライバー』(1976)の前々年に製作されたこの映画にも
ジョディ・フォスターが出ていて、ちょっとカッコよかったです。
すごく印象的でした。

原題は"Alice Doesn't Live Here Anymore"というのですが、
それも映画を観た後ではものすごくしっくりきます。
生きるために捨ててきたものとか、置いてきたもの、諦めたもの、
自分を変える勇気、一歩を踏み出す勇気、
流されずに自分の意思で生きていく勇気、といったことを考えさせられました。
面白かったです。

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2007年7月12日 (木)

『生と死の間』

『ヒッチコック劇場』というシリーズの「生と死の間」という短篇を観ました。

怖い話でした。

冷徹なビジネスマンが交通事故に遭い、
意識はあるんだけど体が全く動かず、
何とか自分はまだ生きているんだと訴えたいんだけど、
発見者にも警察にも救急隊にも、
さらには死体安置所の担当者にも死んだと思われ……、
という話です。

死んだ後はどうなるのかということには興味がありながらもよく分からず、
でも何となく天から見守ってくれていると思っているところがあります。
ということは死んでからも意識はあると思っているということになると思うのですが、
もしもそうなら完全に死んだ後ではなく、
この映画のように生と死の間にいる時のことを考えると、
非常に怖いなあと思います。

30分弱という短さなのですが、一つ一つの設定がしっかりとされていて、
とても濃密なストーリーでした。
たとえばこのビジネスマンが冷徹だということも、
必ずしもそうである必要はストーリーの展開上はないのかもしれませんが、
冷徹なビジネスマンである人の身に起きた事故だということが、
面白さを際立たせているように思いました。

3話収録されていて1500円とお買い得です。
気分転換にちょっと観るほど軽い内容ではないのですが、
とても面白いです。

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2007年7月10日 (火)

『怒りの葡萄』

スタインベック原作、ジョン・フォード監督の『怒りの葡萄』(1940)を観ました。

ヘンリー・フォンダ演じるトム・ジョードが仮釈放を認められ、
4年ぶりにオクラホマの実家に戻ってみると、そこに家族の姿はなく、
荒れ果てた土地とあばら小屋が風に吹き晒されていた。
猛烈な砂嵐のために作物を収穫できなくなり、土地は取り上げられ、
新天地を求めてオンボロのトラックになけなしの財産を積み込んで、
ミルク&ハニーの地、カリフォルニアへと向かう途中だったのだ。
しかし辿り着いた「約束の地」でも日雇いの辛い重労働にありつくのがやっとで、
富める者たちの横暴の前に労働者たちにはなす術もなかった――。

というようなストーリーです。
1930年代のアメリカ中西部を襲った砂塵嵐と、農業の機械化による失業、
そこからの脱出を試みる労働者の苦難、といった問題が、
トムとその母親の視点を中心に描かれています。

夢は遠くカリフォルニアにあると信じ、
だけどもっと大切な心は大きな母の胸にありました。
そして希望は子供たちの笑顔にあったのかもしれません。

公開時には大きな社会問題にもなった映画ということですが、
身近に感じることができたのは家族の物語でもあるからだと思います。
荒廃した社会で懸命に生きようとする家族の強い絆がとても印象的でした。

他にもヘンリー・フォンダの主演作で言えば、
『間違えられた男』(1956)、『十二人の怒れる男』(1957)も面白いです。

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2007年6月 8日 (金)

『ルパンvs複製人間』

「ルパン三世」の劇場版第一作目、『ルパンvs複製人間』を観ました。

1978年公開の作品で、
TVシリーズでいうと第二シリーズが始まって二年目に突入した時期です。

TVシリーズはハードボイルドな第一シリーズが一番好きで、
第二シリーズはエピソードによって
大好きなものと不愉快なものとのギャップが激しく、
第三シリーズはこの間レンタルしてきてちょっと見てみたのですが、
あれはもうぼくの知っているルパンではありませんでした。

そんな中、この『ルパンvs複製人間』は、
第一シリーズのルパンに近いカッコよさがあり、
登場人物の関係にもブレがなく、
改めてこの時期のルパンが本来のルパンだと確信するに至りました。

第二シリーズでも後半になってくると、
話としては面白いんだけどルパンである必要がない、
というようなエピソードもあって、
ルパンが利用されているだけのように思えてくることもありました。
そういう点で、『カリオストロの城』もルパンの映画というよりは、
宮崎駿の作品といった方が正しいと思います。

TVシリーズでは視聴率の関係もあって、
なかなか制作スタッフの思うように作れなかったという事情があったようですが、
視聴率には直接結びつかないコアなファンからの期待値も高く、
クオリティの高い作品を作り続ける難しさもあっただろうなあと思います。

それにしても「ルパン三世」は個性的なキャラクターだけでなく、
車や拳銃など小道具の設定もきっちりしていて、
テーマも深いんだけど小難しくなく、しみじみと考えさせられることもあったりして、
何度でも見返すことができます。
この面白さは奇跡に近いと思います。

ルパンを語るつもりはないけれど、深く知っていたいと思います。

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2007年5月30日 (水)

『65Revisited』

『ドント・ルック・バック』のアウトテイク映画、『ツアー65再訪』を観ました。

『ドント・ルック・バック』とは一味も二味も違うディランを見ることができました。
この二本の映画が揃って初めて当時のディランが
バランスよく伝えられることになるんじゃないかなと思いました。
追いかけてくるファンの女の子たちにも笑顔で接していたし、
『ドント・ルック・バック』で見せていたような頑固なイメージは影を潜め、
虚像でないディランの優しい表情やしぐさが印象的でした。

演奏もリズムもシンプルなのに独特で、
歌詞の世界が深いこともあってついつい引き込まれてしまいます。
映画のオープニングは部屋でピアノを弾くディランの姿なのですが、
この音色、指の動きにも一気に引き込まれてしまいました。

ディランの声は時期によって大きく異なりますが、
声も含めてトータルなサウンド面での可能性を追求していたということなのかな
と、この映画を観ながらちょっと思いました。
天才は安住を知らないということかもしれません。

そして一貫しているのは、
いつもハッとさせられるような真実を歌っているということです。
軽く共感などできるような真実ではなく、
気づかなかった嘘や、見えていなかった深淵をぐいと捕らえて
さらりと、そして生々しく歌い上げる、といった感じです。

一方で音楽史上初めてのプロモーション・ビデオとも言われている
「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」の別テイクでもたついている様子なども、
近寄りがたいイメージからはかけ離れていて、いい感じでした。

そして何よりも、どんな理屈も抜きにして、
ボブ・ディランはずば抜けてカッコいい存在だと改めて思いました。

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2007年5月28日 (月)

『イージー★ライダー』

まだまだ続くザ・バンド・ブームの中、
『イージー★ライダー』を観ました。
1969年のピーター・フォンダとデニス・ホッパーが作った映画です。

アメリカを探して旅に出た二人がアメリカの不在を見つける映画、
自由な精神が灰色に澱んだ不穏な時代の空気に押しつぶされていく映画です。
ウッドストックとか、ヒッピーとか、一時代を築いた文化が、
見事なまでに強制的な終焉を迎えさせられていました。
あまりに理不尽な閉塞感が衝撃的で、見終えて心臓がドキドキしていました。

The Bandの"The Weight"は、
この映画の代名詞的な曲でもあるステッペンウルフの"Born to be Wild"などとともに、
キャプテン・アメリカとビリーがバイクで疾走するシーンのBGMとして流れていました。
他にもジミヘンの"If 6 was 9"、
ロジャー・マッギンによる"イッツ・オールライト・マ"、"イージー・ライダーのバラッド"
など、音楽がとても印象的でした。

キャプテン・アメリカの本名は本編では出てこなかったと思いますが、
エンドロールを見ていると、「ワイアット」と出ていました。
悲劇的な結末を迎える二人は、かつてのアメリカのヒーロー、
ワイアット(・アープ)とビリー(・ザ・キッド)ということだと思います。
過去のヒーローを無意味に葬る時代の要請には空恐ろしさを感じます。

一国が手の平を返し終えた時代を描いた映画、と言えるかもしれません。

ちなみに斉藤和義もこの映画が好きなようで、
『青春ブルース』に収録されている「アメリカ」という曲は、
この映画がモチーフになっています。

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2007年5月25日 (金)

『ドント・ルック・バック』

ボブ・ディランが1965年の春に行なった英国ツアーを追ったドキュメンタリー映画、
『ドント・ルック・バック』を観ました。

RollingStone誌が選ぶロック映画オールタイムベスト10に入る映画にも関わらず、
これまで日本版DVDが出ていなかったのですが、
映画公開40周年ということで、
昨日のボブ・ディラン66回目の誕生日にあわせて
デラックス・エディションが発売になったものです。

デラックス・エディションには本編の他にもう一枚、
『ツアー65Revisited』というタイトルで新たに制作されたディスクがついていて、
こちらは本編には収録されなかったライブシーンなどが
ふんだんに盛り込まれているようです。

今日は本編しか観ていないのですが、
ライブシーンは少なく、主にインタビューや楽屋でのシーンで構成されていました。
2枚目の『ツアー65Revisited』でその辺は補完されることになるのだと思います。
楽しみです。

本編の方ですが、ドキュメンタリー作品に見え隠れしがちな安っぽい思惑など、
軽く超越していました。
撮りっぱなし、撮られっぱなし、という感じがするぐらい、
作り手にわざとらしい誘導の姿勢が見られず、
この映画をどう受け止めるかは観た者に100%委ねられているようで、
ディランもカメラの存在など無視したような態度で、
分かったふうを決め込むインタビュアーやファンに対しては
観ているこっちがヒヤヒヤしてくるぐらい冷たく、
これならボブ・ディランは偏屈だというイメージが定着してもしょうがないかな、
と思えるほどでした。
でもそれは、歌うことに対するプロフェッショナルなスタンスだと思えました。

ディランはこの後、『ノー・ディレクション・ホーム』に描かれていたように、
本格的にロックへと移行していきます。
ディランが文句なしにカッコよかった時代です。

監督は『モンタレー・ポップ』のD.A.ペネベイカーです。

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2007年3月25日 (日)

「悩みは知恵の始まり」

週に一度のペースで『名探偵ポワロ』を観ています。

今日は、事件が無事解決したにも関わらず
浮かない顔をしているヘイスティングスに対してポワロが、

 「悩みは知恵の始まりです」

と言うシーンがあったのですが、なるほどと思いました。
一方でぼくは、大いに悩むことは最近はなくなったなあと思います。

多分それは、数々抱えている悩みにも優先順位があって、
さらに一つ一つの悩みも複数に分解できて、
今は取り組み中の悩みについて解決方法が見つかっていて、
その実践中なのでその間はその悩みについて悩む必要がないし、
次以降の悩みについては順番待ち中、ということなんだと思います。

もっと言えば、進むべき道は決まっていて、
それぞれの段階で直面する悩みや課題は次の段階に進むためにも大歓迎で、
そうなるともはや悩みではなくなるからです。

それでも、それが悩みであれ何であれ、
今取り組み中のものにここまで時間をかけているのは、
これこそが現状を打破するものだと思うからです。
それは自分の内面に表れるものなのか、
それとも目に見える形で現れるものなのか、
今はまだ分からないけれど、
いま踏ん張りきることで次に大きな一歩を踏み出せるような気は、
確実にしています。

転換期にいるということなのかもしれません。
悩みというより、上るべき階段の一段一段というイメージです。
とにかく、始まりの終わりが訪れて、いよいよ視界が開ける、
というところに少しでも近づいていればいいのですが……。


ちなみにヘイスティングスが何を悩んでいたのかと言うと、
今回の事件では不器量で極めて事務的だった女性が、
実はゴージャスで企みを秘めた美女だったと分かったのですが、
ということはゴージャスな美女だと思っていた女性が実は……、
ということもあり得ると思って落ち込んでいたのでした。

ポワロとヘイスティングスのコンビはいつもとてもチャーミングで、
人間味にあふれ、そして知的で、楽しいです。

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2007年3月 8日 (木)

『善き人のためのソナタ』

シネ・リーブル梅田で『善き人のためのソナタ』を観てきました。
平日の午前中にもかかわらず、
これがアカデミー賞効果か、というぐらい大盛況でした。

重く哀しい物語でした。

反体制的と見なされた東ドイツの作家が
秘密警察シュタージによる完全監視の対象となるのですが、
そこで厳しい監視を任されたはずのシュタージ局員が、盗聴、盗撮を通じて、
対象者である作家の自由な思想、音楽、愛、といったものに影響を受け……、
というストーリーです。

市民に表情や感情がまるでなく、
希望や夢というよりは大義や覚悟が生きる原動力となっていて、
裏切りや絶望の内にも哀しみが流れているように感じました。

作品全体としては、シュタージの非情さ、歪んだ社会の構造、理不尽な毎日、
よりは、そこに微かに残っていた「人道」にスポットが当てられていました。
そこに救いがあるのですが、実際はどうだったんだろうかと思います。

決して宣伝ではないのですが、この映画とあわせて
『監視国家~東ドイツ秘密警察に引き裂かれた絆』を読んでいただくと、
少し違った角度から考えてみることもできると思います。

笑顔で毎日を生きることの大切さ、それができることの喜びを感じさせられました。

*残念ながらシネ・リーブル梅田には『監視国家~』は置いてもらっていませんでした。

善き人のためのソナタ

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2007年3月 2日 (金)

『善き人のためのソナタ』

先日第79回アカデミー賞の発表がありましたが、
外国語映画賞を受賞したのが、『善き人のためのソナタ』(ドイツ)でした。

邦題はちょっとひねっているみたいですが、
原題は"Das Leben Der Anderen"で、英語のタイトルは「The Lives of Others」、
直訳すれば「他人の生活」ということです。

これはベルリンの壁が崩壊する直前の東ドイツを舞台に、
共産主義の中枢を担っていたシュタージの実態に迫った作品ということで、
まさに『監視国家~東ドイツ秘密警察に引き裂かれた絆』と同じテーマです。
というわけで、上映されている映画館でも(全国全館かどうかは分かりませんが)
『監視国家~』が販売されているようです。
思いがけず有り難い話です。

映画は今月から全国各地で順次公開されているようです。
詳細は下のバナーからどうぞ。

 *『監視国家~』はこちらです。 >>> Works 『監視国家』

善き人のためのソナタ

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2007年2月19日 (月)

HERO.

Biglobeストリームで、

 ジェームス・ディーン「死の真実」

を観ました。
先週から公開されていたのですが、
亡くなった人のことを後から検証するようなフィルムはあんまり好きじゃないので
ずっと見ないでいたのですが、気になって気になってしょうがなかったので、
結局観ました。食い入るように観ました。

事故の状況を、1955年当時にはなかった最先端技術で再現し、
事故を巡る様々な謎を解明しようと試みているのですが、
当時の関係者や友人たちの証言、目撃談、回顧談などが途中挿入され、
バックにはブルースハープの乾いた音色などが効果的に流れ、
カリフォルニアの空の青なども鮮やかなために全体的な雰囲気は明るく、
さらには本人のインタビュー・シーンなどもちょっと盛り込まれていて、
嫌な思いをせずに楽しめました。

共感のできるアーティストはいても憧れの対象となるとなかなかいない中で、
ジェームス・ディーンはぼくにとってとても貴重な存在です。
だけどこのフィルムを観るまでもなく、
中途半端にマネをしようとすると火傷するぜ、という見本のような人です。
カッコいいです。

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2007年2月16日 (金)

『断崖』

ヒッチコック監督の『断崖』を観ました。

どうしようもないけど優しくて憎めない美男子だと思っていた人が、
もしかしたら油断のならない男だったのか――。
幸せな選択をしたはずだったのに、
もしかしたら大変な事件に巻き込まれているのか――。

原題は"Suspicion"、
疑うこと、怪しむこと、気づくこと、というニュアンスです。
疑いだしたらキリがなくなるという怖い話です。

それにしても、DVDにしても映画にしても、
ある程度の内容は事前に分かってしまうけど、
サスペンスなどの場合にはちょっとのヒントで先が読めてしまったり、
無理やり先を読もうとしてしまったり、何かと支障が出ます。
今日は出ました。

サスペンスはこれまであまり観ることがなかったので
そういう注意事項にも気づかなかったのですが、
これからヒッチコックなどを観る時は、
できるだけ事前には知識を仕入れないようにしようと思います。

この間のチャップリンにしてもそうだったのですが、
DVDが1枚500円というのは安くて頼もしいです。
文庫本を買うような感覚で楽しめるので嬉しいです。

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2007年2月 7日 (水)

『ストレンジャー・ザン・パラダイス』

昨日に引き続き、ジム・ジャームッシュ監督の映画を観ました。
84年の作品で、85年のカンヌ映画祭でカメラ・ドール(新人賞)を
受賞した作品だそうです。

決して否定的な意味ではないのですが、
観終えて、どうしようかと思いました。
カメラワークが独特だったり、映画全体に流れる雰囲気だったり、
それっぽいことを感想として書こうと思えばそれなりに思いつくのですが、
観終えて何よりもまず感じたことが、どうしよう……、ということだったのです。

誰かの、特に何ということのない日々が描かれているのです。
思い描いていた休日よりは奇妙なことになってしまったのは確かだし、
登場人物たちもクセがあって会話もどこかおかしいんだけど、
それにしても日常的すぎるというか何というか……。
自分からすすんで見たとはいえ、これを見せられてどうしていいものか……。

だけど、こいういうゆったりとしたマイペースな映画はとても印象的で、
いつまでも記憶に残っていたりして、
日が経つにつれてじわりじわりと存在感を増してきたりすることがあります。
なのでこの映画も、観終えてすぐに、どうしよう……、なんてことは考えず、
どうするでもどうするべきでもなく、
ただ『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を観た、
ということでいいんだと思います。
そのうちどうにかなってくると思います。

実際にこうして日記を書きながら思い返しているうちに、
さっそくイメージが広がり始めています。
さすがにジム・ジャームッシュは手ごわいです。

 >>> 『ストレンジャー・ザン・パラダイス』 ジム・ジャームッシュ


*これまでに観たジム・ジャームッシュ監督の作品――
  『ダウン・バイ・ロー』
  『コーヒー&シガレッツ』
  『パーマネント・バケーション』

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2007年2月 6日 (火)

『パーマネント・バケーション』

ジム・ジャームッシュがニューヨーク大学大学院映画学科の卒業作品として
1980年に制作したものだそうです。

ジャズの流れるニューヨークの街角で、
自分の重心を見失ったようにフラフラと彷徨いつづける若者を描いています。
夜も眠れず、周囲の人と上手に交わることもできず、
そういう焦燥感を仕事や趣味で紛らわすことは自分にはできないといって、
「漂流」を続けているのです。

青春期の中のさらにある一定の時期に、
強烈に虚無的な感情にどうしようもなく囚われることがありますが、
そんな時期に過ごした日常の(というにはあまりにも非日常的な)一コマ、
といった感じの映画です。

特に何も起きず、悶々とした内面だけを引きずっているような毎日で、
自分のそういう悩みだけが世界の一大事だと信じている時期です。
大人になってそんな感情が些細に思えてくるのは、
ただ何か他のことに追われ、忙しさに紛らせているだけで、
若い頃のそういう認識は、もしかしたら正しいのかもしれません。
本当に自分にとって大切なこととか、
しがらみをできるかぎり取っ払った時に感じることとか、
そういったものを諦めないでいられる時期は、短いと思います。

大切に過ごしたい時期を、焦りなど感じずにじっくりと過ごしたい、
と今さら思わせてくれました。

 >>> 『パーマネント・バケーション』 ジム・ジャームッシュ

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2007年1月29日 (月)

『移民』、『冒険』。

チャップリンの無声映画、『移民』と『冒険』を観ました。

どちらも25分ぐらいの短編なのですが、
ほとんど表情や仕草だけで状況や設定が十分に説明されます。
この2作品が作られた1917年頃が、
チャップリンがコメディアンとして決定的な地位を築いた時期とされているようです。
ぶかぶかのズボンに山高帽、ちょびヒゲを生やして、
がに股でステッキを振り回しながら歩く姿はこの頃からすでに確立されていて、
このコミカルな風貌で時おり紳士的な物腰を見せるというギャップが、
面白さを引き立てているんだと思います。

面白いのですが、ドタバタ喜劇というところもあって、
ちょっとドリフのコントを思い出したりしました。
ドリフの方が少なからずチャップリンの影響を受けていたのだと思います。

こういう時期があって、さらにただ笑える面白さだけでなく、
社会に対する怒りや問題提起、涙といった要素を加えながら、
後の中長編につながっていったのだと思います。

映画作家、表現者としての広がりや深みを感じます。
もうちょっとチャップリンの短編を続けて観てみようと思っています。
それにしても若い頃のチャップリンは、とてもハンサムです。

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2007年1月13日 (土)

『オーシャンズ12』

『オーシャンズ12』を借りてきて見ました。
見始めてすぐに、もう一度『オーシャンズ11』を見ておけばよかったと
少し後悔したのですが、しょうがないからそのまま『~12』を見ました。

スタイリッシュで、セリフやなんかも洒落ていて、音楽もカッコよくて、
『ルパン3世』のルパン一味が大所帯になったみたいな感じですよね、このシリーズは。

話は『~11』よりもさらにややこしくて、
見終えて一つ一つを反芻すると、ああ、あれはそういうことだったのか、
と一応は分かるのですが、ちょっと難しかったです。
でもこの映画はおそらく、ストーリーの妙とかそういうことよりも、
カッコいいブラッド・ピット、クールなジョージ・クルーニー、
頑張っているマット・デイモン……、といった感じで、
それぞれの役者さんの「いい味」を堪能するための作品、
なんじゃないかなあと思います(違うかもしれません)。

とはいっても、真面目に筋を追わないとやっぱり楽しめないことに違いはないのですが、
それにしてはあまりにたくさんの人が出てくるので、やっぱりちょっと難しかったです。

『オーシャンズ13』にはアル・パチーノも出るそうで、
きっと見ることになるんだと思います。
関係者たちがみんなで楽しそうに作っている映画なのかもしれません。
そういう雰囲気は、『~11』でも『~12』でも漂っていました。
『~13』も楽しみです。

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2006年11月18日 (土)

『イースター・パレード』

『イースター・パレード』を観ました。
1948年のアメリカのミュージカル映画で、DVDのパッケージによると、

 「豪華キャストで展開される華麗なるダンスの世界!」

ということです。
ぼくは監督も脚本も役者も一人として知っている人はいなかったのですが、
ダンスは本当に華麗でした。圧巻です。
主役たちだけでなく、たとえばレストランのウエイター役の人のパフォーマンスも、
じわじわと、それでいて途中からは大爆笑でした。

ストーリーもだいたいの展開は先が読めたりしましたが、
それでもその時々でのダンスがコミカルだったりシリアスだったり、
非常に表情豊かで飽きさせませんでした。
それに登場人物たちの性格や置かれている環境が丁寧に描かれていて、
物語にもぐいぐいと引き込まれます。

難しいことを考えずに娯楽として単純に楽しめるというのは、
エンターテインメントの基本だなあと思いました。
観終えて、

 あ~、面白かったぁ!

と言えるのは、貴重な瞬間です。
書店のレジの近くなどで、500円で売っています。

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2006年11月 6日 (月)

さよなら大魔王の話。

Maohakuby

ぼくたちの世代にはとても懐かしい『ハクション大魔王』の最終回が、
BIGLOBEストリームで配信されてまいす。
子供向けギャグアニメのラストとしては、
あまりに悲しくてきれいなストーリーです。

小さい頃に涙した思い出を持っている方も、
見ていたはずだけど最終回は記憶にないという方も、
最近になって最終回はビデオで観たという方も、
仕事中の方も休憩中の方も、
どうぞこの機会をお見逃しなく。

たぶん、来週の金曜日ぐらいまでやっていると思います。
もしかしたら今週の金曜日までかもしれません。

>>>コチラからどうぞ。

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2006年10月11日 (水)

『チャンプ』

『チャンプ』(1979 米)を観ました。

何度観ても号泣します。
頭というか目の奥の辺りが痛くなるぐらい。
そんなことになると分かっていながら、時々観たくなります。

なんでや、なんでこんなことになるんや……、
と思いながら、時にチャンプの気持ちになり、
時に息子のT・Jの気持ちになり、
まれに母親のアニーの気持ちにもなってみたりしながら、観ました。

チャンプ役のジョン・ヴォイトは、アンジェリーナ・ジョリーのお父さんだそうです。

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2006年10月10日 (火)

『恐怖の報酬』

『恐怖の報酬』を観ました。
イヴ・モンタン主演、1953年のフランス映画です。

ベネズエラの僻地で仕事にあぶれていた男たちが、
高額の報酬を目当てに危険な仕事にチャレンジします。
遠く離れた油田で起きた大火災を消すために、
トラックで劇薬のニトログリセリンを運ぶのです。
その役割をイヴ・モンタンはじめ、四人の男たちが任されるのですが、
少しでも揺れると爆発するニトロを積んで、悪路を往くのです。

トラックが出発してから衝撃のラストまで、手に汗を握るどころか、
ぼたぼたと滴り落ちるぐらいの緊張感を強いられます。

とても小さい時に観た記憶があったのですが、
ことのほか詳しく覚えていたので自分でもびっくりしました。

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2006年9月13日 (水)

『ストーンズから消えた男』

『ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男』を観てきました。

ぼくがよく聴いているストーンズはまさにブライアン以降で、
ブライアン絶頂期の曲はシングル・コレクションやベスト・アルバムで聴く程度なので、
ブライアン・ジョーンズについては、
いわゆる「謎の死」として語られている程度のことしか知らず、
その程度の知識でこの映画を観ても、
ブライアン・ジョーンズの魅力はあまり分からないのかもしれません。

色男としての魅力は十分すぎるほど分かったけれど、
ストーンズが自分から離れて行くのを黙って見ているしかなかった苦悩や、
天才ミュージシャンとして、あるいはモンスター・バンドのリーダーとして、
そして60年代のアイコンとして時代に飲まれていく悲劇的な部分、
それにこれだけ多くのフォロワーたちに

 「だんぜんブライアン・ジョーンズだった」

と言わせる存在感などについては、あまりピンときませんでした。

ブライアンを演じた俳優は本当にそっくりだったと思いますが、
あの目の奥に輝いていた悪魔的な狂気の光を見ていると、
興味は嫌でも湧いてきます。
初期のストーンズをもっとちゃんと聴いてみたくなります
(そしてもちろん、今は聴きながらこれを書いています)。
そういう「掴みどころのない魅力、誰にも捉えられない構え」というのが、
当時のストーンズにおけるブライアンの位置だったのかなあ、
なんて今のところは思っています。

ストーンズはブライアンの死の二日後に、
ハイドパークで25万人を動員してフリーコンサートを行うのだけど、
ミックは演奏を開始する前に、

 思いがけず旅立ってしまったブライアンに捧げたい、

と言って、シェリーの詩の一篇を朗読しています。

 「彼は死んだのでも眠ったのでもない
  人生という夢から醒め
  無益な争いを続ける我々を現実の世界に残した
  我々こそ死する者
  日々、我々は不安と悲しみに閉ざされ
  寒々とした希望に呑み込まれる
  真実が残り、人は変化し、死んでいく
  天の光は永遠に輝き、地の影は消え去る
  ステンドグラスのように永劫の光を染める命
  死はそれを粉々に踏みにじる
  死ぬがいい
  汝が求めるものがそこになるなら
  行くがいい」

そして"I'm Free"を激しく歌っています。

 「何をするにもおれは自由……」

ストーンズを解雇されたブライアンは、
自分が離れてからのストーンズが演っている音楽は
ポップスだと言っていたようです。
ストーンズで追求したいのはあくまでR&Bであって、
「ビートルズになるつもりはない」というセリフも映画には出てきました。

ストーンズの大きな転機がこの頃にあったのは間違いなく、
その決意表明みたいなイベントだったんだと思います。


ブライアン・ジョーンズが『チャーリーとチョコレート工場』の
ウィリー・ウォンカに見えるんじゃないかという心配は杞憂に終わり、
だけど下のジャケット写真を見ていたため、また違う人物が……。

Brian_jones

Brian_jones2

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2006年9月 9日 (土)