2012年5月24日 (木)

いののこさ。

息子が起きている間はリビングに毛布とマットを敷いてその上に寝かせていることが多いのですが、ストーブをつけるので頭をあぶらないようにとか、大人がソファに座ると足先が顔のほうを向いてしまうとか、いろんな理由で、息子を寝かせたまま毛布とマットを引っ張って少し移動させたり向きを変えたりすることがあります。

そんなとき、「いののこさ、いののこさ」と言いながら動かします。松江のおばあちゃんは隠岐の島の出身なのですが、そこでの風習のようです。黙って動かすのは縁起が良くないということなのか、おまじないみたいなものだと思います。ぼくはそういうのが好きなので、用もないのに「いののこさ、いののこさ」と言いながら動かしています。

ぼくが小さかった頃、座布団の上に寝かされていたぼくを二つ上の兄が座布団ごと引きずって遊んでいたという話を両親からよく聞かされるのですが、あれも隠岐であれば兄は「いののこさ、いののこさ」と言いながら引きずらないといけなかったわけです。

いののこさ、いののこさ。

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2012年5月23日 (水)

魅惑の世界。

ショッピングサイトの「カートに入れる」ボタンや、書店の棚からレジまで商品を運ぶことがいつも以上に魅力的に思えて、抗いがたく、抗う必要などあるはずがないとしか思えなくなって、何をごまかすためのハイテンションなのか、「ぽちっとな!」とか言いながら購入手続きを済ませたり、悩む余裕を与えぬ澱みのなさで棚から本を抜き取ってすたすたとレジまで歩いていったり、それはそれは、たぶんこれが長期にわたって抑圧されていた物欲の本領なんだろうなと思い知らされるほどの力強さで、自分でも驚くことがあります。

そういうことがつい先日もありました。黄色い悪魔が棲息するタワーレコードには、足を踏み入れてしまうと購買意欲に対する抑止力が天高くまで吹き飛ばされてしまうのか、それとも底なしの購買地獄に引きずり込まれてしまうのか、いずれにしてもそこはめくるめく魅惑の世界で、ここ数年は極力近寄らないようにしていたのですが、先日、久しぶりに三宮に出たついでについつい立ち寄ってしまったのです。そして立ち寄ったというにはあまりに長い時間を過ごし、帰る時には清志郎さん朗読の『ぞうのババール』とBo Diddleyの『Big Bad Bo』が入った黄色く心躍るショッピングバッグをうきうきしながら握りしめていたのです。これでも頑張ったほうです。

それなのに、松江に来るときに持ってくるのを忘れてしまいました。こっちには他にもあまりCDを持ってきていないのでそろそろ何か調達したいのですが、松江は黄色い勢力の範囲外なので一安心です。

 

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2012年5月22日 (火)

Facebookとか。

ほったらかしの状態が続いていたFacebookですが、ここにきてお友達も微増し、Facebookを通じての交流が楽しくなってきました。そもそものきっかけを作ってくれたまっつんに感謝です!

というわけで、今はブログが二つ("under the sky, on the road, at the desk"と"恵光社")と、twitterFacebookがあります。実際に書いているのは二つのブログとtwitterで、Facebookにはブログとtwitterの内容がそのまま流れるように設定しています。ですが、Facebookにコメントをいただくことが最近は多いので、その場合はFacebookでそのまま交流させていただいています。ブログに書いたことをtwitterで簡単にツイートすることもありますので、その場合は重複する内容のものがFacebookに流れることになります。ブログをPCで見ていただくとサイドバーにtwitterも表示されているのですが、携帯やスマートフォンで見ていただいてい場合は(サイドバーがないので)表示されません。

整理したつもりが余計にややこしくなっただけのような気もしますが、皆さんがアクセスしやすいところで読んでいただけると嬉しいです。Facebookに統合するといいのかもしれませんが、それぞれにいいところがあるので、今のところは今のままの運営を続けていくつもりです。よろしくお願いします。

*昔がんばって作ったHP(WH71)は数年前から更新することなく放置したままですが、今夏中に完全に引き上げる予定です。

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2012年5月21日 (月)

早寝早起き。

夏休みの目標みたいなタイトルですが、最近は、比較的早く寝るように努力しています。これまでは一日分の体力は一日で使い果たすつもりで徹夜や夜更かしも厭わなかったのですが、それでは朝になって回復する体力に限界があることを認めざるを得なくなってきました。でもその分、起きている時間をこれまでより効率よく使えるようになってきたようにも感じています。これまでもだらだら過ごしているつもりはなかったのですが、実際に使える時間が短くなるとそれだけ集中力が増すのかもしれません。だからといって使える時間が短すぎても話にならないので、そこはバランスです。

というようなことも含めてすべては自分が今なにをしようとしているかということに尽きるわけで、時間の使い方みたいなことはもう十五年以上も考えたり見直したりしてきているにもかかわらずまだ納得できていないなんて、まずはどこかに置き忘れてきてしまったらしいぼくの学習能力を探すことから始めないといけないのかもしれません。

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2012年5月20日 (日)

毎日の充実。

昨日で息子がちょうど生後六か月を迎えたので、今日は朝のうちに八重垣神社に行ってお参りをしてきました。生後六か月とかお参りというのは言い訳みたいなもので、天気がよかったので散歩です。陽射しが少しきつかったけれど、田んぼや小川のある道を風がわたり、八重垣神社に着いてからは冷たい手水が気持ちよかったです。

今日はいい日だったのか、お宮参りに来ている若い家族や、結婚式らしき一団の姿も見えました。今日見かけただけでもう会うことのない人や、ふとしたきっかけで知り合って刺激し合うことになる人、なんとなく疎遠になってしまった人、一度も会ったこともなければこれから会うこともない人など、いろんな人がいて、いろんな人生があるのだと思いました。

そんなことを思ったのも、先日のケルトシットルケ・ライブで出会った人たちがみんな魅力的で、縁ということをあらためて考えるきっかけとなったからだと思います。いつも刺激をもらってばかりでなく、自分も少しは誰かの刺激になれたらいいなと思うのですが、そのためにはもっと自分の毎日を充実させなければと思います。

帰り道は暑かったのか、息子がぐずってきたのでベビーカーから抱え上げ、抱っこをして帰ろうとしたのですが、密着度の高い抱っこは暑さの点ではベビーカーと大差なく、息子の機嫌はそれほど変わらず、それなのにぼくの腕はしんどくなる一方で、誰も喜ぶ結果とならなかったので、やっぱりベビーカーに乗せて帰ってきました。これが最初の思惑どおり、抱っこをして仲睦まじく帰ってきていたら、それなりに今日の充実に貢献していたような気がするのですが、なかなか思いどおりにはいかないものです。少なくとも手を抜かないで毎日を過ごすつもりです。

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2012年5月19日 (土)

松江時間。

松江に来て、駅前の賑やかなところからは少し離れているのですが、夜がとても早いことに気がつきました。もうかなり夜も更けたような気がして時計を見ると、まだ20時過ぎだったりします。20時過ぎでも、住宅地ということもあって車の走る音もなく、夜がしーんと静まり返る中、時計のコチコチという音だけがとても大きく響いています。古座のばあちゃんとこに来たみたいな感じです。

リーディングばっかりしていないで、ゆったりと流れる時間にしばらく身を任せようと思います。

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2012年5月18日 (金)

『アイリッシュ短編集6 ニューヨーク・ブルース』

先日、本屋さんで『アイリッシュ短編集6 ニューヨーク・ブルース』という文庫本を見つけました。「アイリッシュ短編集」という部分を見て「おっ」と思い、手を伸ばそうとするとタイトルが「ニューヨーク・ブルース」とあってこんがらがりそうになったのですが、アイルランドの短編集ではなく、作者がウィリアム・アイリッシュという名前のニューヨーク生まれのアメリカ人(1903-1968)でした。

それでも、アイリッシュという名前も『ニューヨーク・ブルース』というタイトルもカッコよかったので少し立ち読みしたのですが、大都会の喧騒に暮らす孤独、といった雰囲気のミステリーで、とても面白そうでした。しかも帰ってから調べると、ヒッチコックの『裏窓』やトリュフォー×カトリーヌ・ドヌーヴ×ジャン=ポール・ベルモントの『暗くなるまでこの恋を』の原作がこのウィリアム・アイリッシュということでした。

ということで読みたい本リストに入れたのがもう二か月ぐらい前のことになるのですが、最近になってようやく(その時の本屋さんではなく)いつもお世話になっている本屋さんで購入し、今日から読み始めたところ、やっぱり面白いです。二か月前の立ち読みで中断していた「三時」という短編を読んだのですが、どうやら自分のことを裏切ったらしい妻に復讐をするために、時計屋である自分の知識を総動員して、三時になると「死が羽ばたきはじめる悪魔」を作り上げるのです。しかし当然、事態は思いもよらぬ方向へと動き出してしまいます。そこからラストに向けてじわりじわりと、さらに途中からは一気に緊張感が高まります。今にも上りつめそうな緊張感がいつ解き放たれるのか分からないことでさらに不安が煽られ、手に負えなくなりそうになったところでラストを迎えました。ほんの40ページ程度でここまで緊張を強いられ、読み終えることでこんなに肩の力が抜けるなんて、しかも自分たちの身近でこういう事件が起きていても不思議ではないと思うような出来事なのです。すごい短編を読んでしまいました。

たまたま最初に見つけたのが「短編集6」だったためにこれから読み始めているのですが、できれば「1」から全て読みたいものです。だけど新刊ではなかなか揃っていないようなので、見つけ次第、購入していこうと思っています。

   

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2012年5月17日 (木)

タスク完了!

リーディングやら営業やら、やらないといけないことが山積みなのですが、昨日発生した優先順位ナンバーワンのタスク、「息子との一週間のブランクを取り戻す」を今日の夕方までにさっそく達成しました。ちょうど妻が外出で半日いなかったので、散歩をしてミルクをあげて抱っこをして寝かしつけて、そんなことをしていると昼過ぎにはもう一週間前までの愛くるしい笑顔を当然のように見せてくれるようになりました。

生まれてからずっとべったりだったのに、それでも一週間のブランクがこんなにも大きいだなんて、この時期の子供にとっての環境の影響力について考え込んでしまいます。できるだけのことは当然したいし、その「できるだけのこと」というのが息子と一緒に時間を過ごすことだけではないということも当然だし、だけど幼い子供にとっては時期やタイミングといったことも大事なようだし、ぼくは時間の使い方に大きな自由度が許されているだけに、かえってなんだかちぐはぐなことになってしまっているような気がしています。

それでも、こんなに幸せな毎日はありません。こんな毎日をずっと続けられるように、これからはもっと仕事の面で充実させていかないとと思っています。がんばります。

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2012年5月16日 (水)

再び松江から。

再び松江に戻ってきました。先週の木曜日から一人で芦屋に帰っていたので、息子とも一週間ぶりの対面となりました。松江駅に着いて、近くのスーパーで買い物予定の妻と息子と合流したのですが、感動の再会とばかり思っていたのに、きょとんとされました。ベビーカーを覗き込むと、目が合って、きょとんとして、助けを求めるみたいにママの方を見るのです。まさか一週間で忘れられたのかと焦りながらも、六か月の子供にとって一週間という期間がどれだけ大きいかということは考えるまでもなく分かることだし、そこがスーパーだということをちょっとだけ忘れて、一生懸命にあやしました。

それでもぼくが期待する反応が返ってくることはなく、嫌がりはしないけれど微笑んでくれることもなく、そこがスーパーである以上、できることにも限界があって、ついさっきまで特急やくもの中でiPhoneに保存している息子の写真をにやにやしながら眺めていたのに、と思いながら、しょんぼりとベビーカーを押して、買い物をする妻の後をついてまわりました。

そして帰ってきて、リビングに敷いたマットの上に寝かせ、気を取り直し、その上から覆いかぶさるようにして至近距離からあやそうとすると、突然、「あっ!」と言ったようにも思える声を出した後で、笑顔を見せてくれたのです。リビングの風景とセットで覚えられていたのかもしれません。そうかそうかとぼくは一気に機嫌をよくしたものの、やはり一週間のブランクは大きかったようで、今日のところはママのほうになついているようにしか思えませんでした。

今日はその後でお風呂に入れると寝てしまったので、明日です。明日で一週間分を取り戻す予定です。To Do リストにも入れておきました。

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2012年5月15日 (火)

伝えたいことと伝わること(と伝わらないこと)。

どこどこの書店さんにはいつもお世話になっています、と書くと、そのどこどこじゃなくてもお世話になっている他の書店さんをないがしろにしているみたいで、なかなか個別の書店さんに対する感謝の気持ちをブログなどで表わすことをためらってしまいます。同じように、母の日といっても女性がみんな母とは限らないし、母のいない子もいるだろうし、アグネス・ブラウン三部作を「愛すべき家族の物語」と呼ぶことで、ほとんど登場しない父が家族の中で果たす役割や存在について実はかなり気になっているし、何かをあえて言うことで、言わなかった他のことが気になります。昨日のしおりの件も、結局はそういうことです。

それでも、『チズラーズ』でマークが21歳の誕生日パーティーで、母のアグネスに向けて言った言葉には感動しました。

「赤いバラの一本目には、ぼくたちのためにママが諦めた全てのことへの感謝の気持ち、二本目には、ぼくたち兄妹全員の精一杯の愛を込めました。そして三本目は、世界中のバラを集めて今夜ここに持ってきたとしても、それでもママにはまだ十分じゃないということを伝えたくて、それで一本追加してもらいました」

というものです。本を読んだり映画を観たりしていていつも思うのですが、伝えたい気持ちをうまく言葉に出して伝えていたり、うまく言葉に出して伝えられない気持ちが作中で伝えられているので読者や視聴者にはうまく伝わっていたり、そこが現実との決定的な違いだと思います。

昔、『伝われ、愛』という中島みゆきの本がありましたが、そのタイトルに込められた意味が最近になってようやく分かるようになってきた気がしています。ぼ くたちの全ての言動の根本にあるのはやはり愛だと思います。それが基本的には伝えきれていないというもどかしい気持ちが、「伝われ、愛」というとても強い願いになったのかなと思います。

六か月を迎えようとしている息子を見ていると、泣きたいときに泣いて、ぐずりたいときはぐずりたいだけぐずって、気分がよくなると笑って、気がついたら眠っていて、本当に気持ちがいいです。でもそのうち変に無理してみたり、へそを曲げてみたり、他人の反応や目を気にしてみたり、本人にとっても周囲にとっても面倒くさいことになってくるはずです。そしてだんだん気持ちを伝えることが下手くそになってしまいます。思いやりとは違うやせ我慢や、社会性とは違うカッコつけとか、そういうことが必要な時期はあると思いますが、できれば早く抜け出して、本来の自分の姿で周囲と付き合うことができればいいなと、いまだに思っています。

 

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2012年5月14日 (月)

『トーベ・ヤンソン短篇集 黒と白』

ムーミンでおなじみのトーベ・ヤンソンの短篇集『黒と白』を読んでいます。平底船から砂を陸揚げしたり、沿岸の海中に隠れている岩を爆破したり、地味な作業を黙々と続ける男たちを子供が見つめている話や、もう一人の自分の影に付きまとわれる話など、いかにも北欧らしい神秘的な雰囲気が全開です。気候や生活環境の厳しさにじっと耐えて働く人間の様子を眺めながら、ムーミンたちが隣り合わせの世界を暮らしているところが容易に想像できます。どちらが影でどちらが陽なのか、どちらが夢でどちらが現実なのか、頭の中でぐにゃりと歪んで分からなくなってしまいそうです。とは言っても、それは読みながらぼくが勝手に想像しているだけのことで、書かれている物語にムーミンたちはもちろん出てきません。

「アグネス・ブラウン」三部作やケルトシットルケの影響で、最近は「物語と音楽」ということを強く意識しているのですが、多くの物語の中には音楽が感じられ、音楽の中には物語が感じられます。この短篇集『黒と白』では、厳かで単調な、それでいて力強い音楽が感じられます。登場人物やトーベ・ヤンソンさんの鼓動なのかもしれません。

読み始めたばかりのこの本を読み進めるのが非常に楽しみなのですが、一つだけ非常に気になっていることがあります。しおりが挟まれていたのですが、別の本(もちろん同じ出版社から出ている本)の宣伝で、「全ての日本人が読むに値する数少ない本です」とあって、それだけでもちょっと驚きなのですが、裏には「今読んでいる本をやめても読んで欲しい日本人必読の書です」とあるのです。自分のところから出している本を選んで買って読んで(くれて)いる読者に対して、自分のところから出している別の本の宣伝として「今読んでいる本をやめても……」だなんて、読者に対してはもちろん、作者(や翻訳家)に対しても失礼じゃないのかなと思います。それともこれぐらい挑発的な文句が宣伝のためには必要なのかなと考えたりもします。いずれにしても、やめませんよ。

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2012年5月13日 (日)

「CELTSITTOLKE 関西ケルト/アイリッシュ・コンピレーションアルバム CD発売記念コンサート ~てんこもりJAM VOL.2~」

今日は、先日からこのブログでも何度か紹介していた「CELTSITTOLKE 関西ケルト/アイリッシュ・コンピレーションアルバム CD発売記念コンサート ~てんこもりJAM VOL.2~」という長いタイトルのコンサートに行ってきました。

7組のユニット、総勢20人が出演する、まさに「てんこもり」の内容だったのですが、初っ端からただただ圧倒されました。すごかったです。CD発売記念コンサートなので、今日出演されたアーティストの方々の演奏はCDで聴いていたのですが、ライブでは迫力が違いました。初めて見る楽器がたくさんありました。ボディが大粒の涙のような形をした、マンドリンに似たブズーキ。体のどこに何を装着してどうなっているのか、目を凝らして見てもよく分からなかったイーリアン・パイプス。六角形の筒が蛇腹で伸び縮みする、アコーディオンの赤ちゃんのようなかわいらしいコンサーティーナ。スウェーデンの民族楽器で、弦がたくさんあるのに実際に弾くのは四本だけで後は共鳴させるためのものだというニッケルハルパ。他にもフィドル、ギター、ハープ、ティン・ホイッスル、フルート、ボタン・アコーディオン、パーカッションなど、出演アーティストも豪華なら、登場する楽器も豪華で、温かみがありながらも激しく、素朴でありながらも存在感があり、楽しいけれど少し切なさのようなニュアンスが滲み出ていたり、本当に素晴らしい音楽でした。

どのユニットの音楽も特徴があって、それでも終演後に少しお話させていただいた方などは、まだ自分たちの音楽を探っているとおっしゃっていたし、そういう音楽と向き合う姿勢にも刺激を受けました。最後に全員での大セッションも大きな音の波がステージから客席に押し寄せてくるようで、圧倒的でした。

民族音楽などで使用される場合はバイオリンと呼ばずにフィドルと言うそうなのですが、姿勢を正して真っすぐに立って弾くのではなく、足でステージを踏み鳴らしたり、くるくると回転したり、キース・リチャーズなみに低い姿勢で弾いたり、全身を大きく使ってダンスするように弾いていたのが印象的でした。

これまでぼくは、関西を中心に活躍されているアーティストの皆さんが、というような紹介をしていましたが、関西に拠点を置き、世界を舞台に活躍されてる方たちでした。本当に楽しかったです。ライブ・アルバムとかあるといいなあと思いました。

今夜のような「てんこもり」ライブは滅多にない機会だったはずですが、各ユニットのライブ・スケジュールをまめにチェックして、ケルト音楽をはじめとするヨーロッパの民族音楽をもっと聴いてみたくなりました。知らなかった素敵な世界に触れた気分です。

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2012年5月12日 (土)

Cut と CeltSittolke。

今日は朝から髪を切ってもらってきました。まだ二か月経っていないですよね、と美容師さんに言われました。そうなんですよ。だから明日のCELTSITTOLKEのコンサートのことや、物販コーナーで「アグネス・ブラウン」三部作を販売させてもらえること、だから失礼のないようにちゃんとカットしてもらってから行こうと思って、というようなことを話しました。

そもそものきっかけが、『チズラーズ』と『グラニー』を作っていただいた神戸新聞総合印刷の方から(どちらもアイルランドに関連があるということで)その日の神戸新聞にCELTSITTOLKEが取り上げられていると教えていただいたことだったということや、そこからツイッターを通じてビートショップの水谷さんやグレンミュージックの吉田さんとお知り合いになれたことなども話し、それはすごいですねぇ、そうなんですよ、やっぱ外出ですね、というようなやりとりがあって、「じゃあ、伊達さんもタンバリン持ってかないと。ええぇぇえっ! 出る気っすか!? ってなりますよ」と楽しそうに話す美容師さんにもう3年以上カットしてもらっているのですが、生やし主と同じでなかなか言うことを聞かない頑固な髪を見事に手なずけてくれています。

髪を切ってもらうのは前回から二か月以上経ってからというこれまでのぼくの頑ななまでの鉄則を軽く崩してくれる出会いや、それをおもしろ話にすり替えながら頭と気持ちを軽くしてくれる出会いは芦屋での財産です。

明日のCELTSITTOLKEコンサートはUSTREAMでもライブ配信されます!>>> こちら。
ぼくが3年以上通い続けている美容院はこちら。>>> GRATIA

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2012年5月11日 (金)

折ってもいいかどうか。

今日は息子の予防接種の件で、芦屋市の保健センターに行ってきました。色々と手続き上のことを確認していると、隣りでぼくよりも10歳ぐらい上かなあという年配の男性が、やはり何か保健サービスに関する話を聞いていました。保健センターのようなところで話を聞くとなると、たいてい何かしらの書類が配布されますが、手渡された書類を受け取った男性は、「これ、折ってもいいんですか?」と訊いていました。

何か紙を渡された時に、「これ折ってもええん?」というのはぼくもよく口にする冗談です。小学校ぐらいの時には保護者あての案内や来週の献立表、宿題のプリントなど配布物がやたら多く、中には後で何か機械で読み取るなどの処理をするため、持ち運びやすさを優先して二つに折ったりしてはいけない場合もあって、しかもそういう場合に限って大き目の用紙だったりして、折ってはいけないと先生からきつく言われたかわいそうな小学生は、折れてしまう可能性のあるランドセルに入れることができず、くるくると丸めたり、手に持ってひらひらと持ち帰ったりしたものです。その時の記憶が恐怖症となって、渡された紙は折っていいものかどうか、渡した側の人に確かめる癖がつく人も中にはいて当然です。

渡された紙が折っていいものかどうかは非常に悩ましい問題で、ぼくも冗談でよく口にするとは言いながら、75%以上は本気で答えを求めていることが多いです。20%は、誰か他の人が折っていいかどうか質問しているのを横で聞き耳を立てています。

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2012年5月10日 (木)

特急やくも。

特急やくもに乗って、二週間ぶりに芦屋に戻ってきました。松江を出て、振り子のごとく揺られながら二時間半かけて中国山地を縦断し、岡山で新幹線に乗り換えてカート・ヴォネガットの短編を一つ読んでいる間にあっという間に新神戸、そして地下鉄、阪神電車と乗り継いで芦屋に到着です。

特急やくもは、勝浦に帰るときの特急くろしおとよく似ています。どちらも振り子列車で、川に沿って山間を抜けて線路は続きます。山が大きくて、今の季節は緑が眩しく、豊かな川がきらきらと輝いて、点在する無人駅にはあどけない笑顔を隠し切れない中高生たちがだらだらと精いっぱいに悪ぶっています。

ちょうど二時間半程度のプレイリストをiPhoneに詰め込んでいるので、それを聴きながら……、と思う間もなくぼくは夢の中にいました。自分ではそんなつもりはなかったのですが、どうやらぼくはどこででも寝られるタイプのようです。伯備線に乗って初めて松江に向かった時、というとそれなりに人生で大事な時であり、緊張すべき時でもあるはずなのに、ぼくはぐうぐうと眠りこみ、起きたら着いていました。

伯備線に乗っていると途中から高梁川というきれいな川が瀬戸内海を目指して流れているのですが、そこにはいつかカヌーを持って遊びに行きたいと思います。特急やくもの窓越しに見ても、古座川とはまた違う楽しさがありそうで、そういうところも特急くろしおと似ています。

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2012年5月 9日 (水)

石段。

お城や神社などに続く石段は、歩幅が合ったためしがないとずっと思っていました。この石を置いた人たちはどんな歩き方をしていたのかと軽く憤慨すらしていたのですが、どうやらそれは誤りでもあり、正解でもあったようです。

そのお城や神社などの人たちは不規則な段差の連続にもそのうち歩き慣れるけれど、初めてやって来た人たちはぼくがそうであるように、歩きづらくてつまづくだろうと計算しているというのです。初めてやって来た人たちとして想定しているのは、ぼくのように善意の参拝客ではなく、侵入者や侵攻者たちのことです。なるほど。今読んでいる本に書いてあったのですが、ちょっと考えれば分かりそうなことでした。

段差が不規則で歩きにくい古い石段を歩く時に考えるべきは、自分の都合や利便性ではなく、当時の人たちの知恵と攻防なのです。鬱蒼と茂る杉や椿の木の下で、ひっそりと苔むす石段を踏みしめていった昔の人たちの息遣いが感じられるようです。

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2012年5月 8日 (火)

八重垣神社。

今日は午前中に、近所にある八重垣神社に行ってきました。ここ数年のパワースポット・ブームで最近は全国的に人気があるようですが、地元の人たちには昔から愛されてきた神社で、正月はいつも参拝客でごった返しています。だけど今日は連休明けということもあり、訪れている人はほんの数組程度でした。

八重垣神社というのは、素戔嗚尊(スサノオノミコト)が八岐大蛇(ヤマタノオロチ)から稲田姫命(イナタヒメノミコト)を救い出し、本殿後方に位置する大杉を中心に八重の垣を造って姫をお隠しになった、という言い伝えに基づいた神話の町に相応しい神社です。その稲田姫命が姿を写したという「鏡の池」や、地面から二本の木が出て地上で一本になっている(らしい)「連理玉椿=夫婦椿」が有名みたいです。素戔嗚尊と稲田姫命の言い伝えから縁結び、授児、安産、厄難除、などのご利益があるそうです。

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2012年5月 7日 (月)

失礼な電話。

ナントカ・リサーチというところから市場調査とかいうことで恵光社宛てに電話がかかってきて、設立年月日や決算月など基本データの確認をされたうえで、「御社が商品を売りつけている先はどこですか?」と訊かれました。

恵光社の商品は今のところ『チズラーズ』と『グラニー』だけですが、書店様に置いていただく際にはできるだけきちんと書籍の内容や出版にいたった経緯などを説明させていただいているつもりです。それに書店様との関係は委託販売ですので、買い取っていただくことはありません。取次店や書店を経由して読者の方々にお買い上げいただく際も、お客様の判断によるものと理解しています。誰に対しても、決して売りつけたりはしていません。

もちろん、言葉の選択を間違えただけだとは思います。思いますが、その場合でも口にした後で気がついたはずです。口にした言葉が思っていた以上に強い言葉だったとか、なんかちょっと失礼だったかもしれないとか、そういうことはよくあることです。だから気をつけないといけないし、気をつけていても防ぎきれない場合もあります。だから正直にそう言って言い直せばいいと思います。

嫌な思いをするのは、言われた言葉そのものに対してというよりはその言葉を言った人の態度やスタンスに対してだと思います。自分の仕事や相手に対して誠実であろうとするだけで、言葉の選択ミスやそれによる誤解の大部分は減らせると思います。それにしても、一言でこんなに人の気分を害せるなんて驚きです。「失礼」を具体的に説明しろと求められたら今日のことを話そうと思います。

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2012年5月 6日 (日)

図書館。

今日は買い物に出たついでに中央図書館に寄ってきました。外観も内装もとてもきれいで立派な建物だったのですが、ロビーでは小学生たちが柱にあるコンセントから電源を取ってわいわいと携帯ゲームに興じていたり、開架室に置いてあるいくつかの机はヘッドフォンをしてだらだらと明らかに長居している高校生か中学生たちに占拠されていて、これは和気藹々としていると言えるのか、それとも注意もせずに放置しているために騒然としているだけなのか、少なくともあんまり気持ちのいい光景ではありませんでした。

しかし、『マミー』も『アラスカを追いかけて』も『善良な町長の物語』も『監視国家』も『ファイターズ・ハート』も『熊』も『フクロウ』もありました。出版された本が自分の手を離れてどこまで届くのかということは非常に興味のあるところなのですが、松江でも読んでもらえているのであれば、それはとても嬉しいことです。でもまだまだ、『チズラーズ』と『グラニー』、『サッカーが世界を解明する』、『ペレ自伝』、『真夏のマウンド』もあります。今度改めて挨拶に行きたいと思っています。

これまで翻訳した作品はどれも愛着も自信もあるものばかりです。翻訳が終わると、それらを読んでくれる人と出会うための旅が始まります。本づくりに携わる者にとって、そこが本当の出発点なのかもしれません。いつでも準備はできています。

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2012年5月 5日 (土)

こどもの日。

今日はこどもの日でした。うちは初節句となるので、松江の実家で、妻のお兄さんが子供の頃に飾っていたという立派なお飾りを床の間に出してもらって、水玉模様のかわいい着物を着せてもらって、勝浦の実家から送ってきてくれた赤飯などのご馳走も用意して、お祝いしました。写真もばちばち撮りました。自分たちだけではこんな立派なことはしてあげられなかったので、本人は何も分かっていなかったと思いますが、とても嬉しかったです。

こどもの日は「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」ことが趣旨だと国民の祝日に関する法律で規定されているようです。大きなお世話だとか言ってはいけないのだと思います。それでも、親がこどもの日に限らずこどもの幸福をはかろうとしてきてくれたことや、今でもはかろうとしてくれていることは分かっているつもりだし、子として、母だけでなく父と兄と二組の祖父母も含めたオリジナルメンバーや、さらに増えた家族、その周辺の親戚など、けっこうな範囲の人たちに普段から感謝しているつもりなのに、改めてそんなことを一年のうちのある一日の「趣旨」として言われると、気が合わないなあと思ってしまいます、とか言ってはいけないのだと思います。いずれにしても、息子が生まれて、これまで親が経験してきてくれたことを今度は自分が経験しようとしているのだと思いますが、そうでなければ親の気持ちは分からなかったと言うつもりはありません。分かっていながら、自分の都合を優先させてきただけだと思います(それが「分かっていない」ということなのかもしれませんが……)。

家族だからこそ言えることもあれば、家族には照れくさくて言えないこともあると思うし、そもそも家族にだけは言いたくないということもあるかもしれません。家族だから、の先の答えはどっちかです。家族だからだらけたところも含めて全部見せられるとか、せめて家族の前でだけは見栄を張っていたいとか。どっちかです。どっちも「あり」です。そういう意味では不思議な関係のような気がしますが、家族構成や人数や一緒に住んでいるとかいないとか、空の上から見守ってくれているとか心を落ち着けて手を合わせているとか、そういえば最近あんまり帰っていないなとか、久しぶりに会っても大した話はしなかったな、とかに関係なく、家族はいつどんな時でも思いやり合っているということだけは間違いないと思っています。

趣旨がどうであれ、そんなことを考えるきっかけになってくれるこどもの日はいい日だと思います。

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